
Kim と Webb(2022)による間隔練習のメタ分析を探している方や、「第二言語の語彙学習で検索練習(retrieval practice)のメタ分析はあるのか」を知りたい方に向けて、研究結果と、小テストや復習の計画にどう生かせるかをまとめました。参考文献は最後にあります。
Kim と Webb(2022)の要点
| 論文 | Kim, S. K., & Webb, S. (2022). The effects of spaced practice on second language learning: A meta-analysis. Language Learning, 72(1), 269–319. doi:10.1111/lang.12479 |
|---|---|
| データ | 48 の実験から得た 98 の効果量、第二言語学習者 3,411 人 |
| 問い | 練習を時間的に分散させると第二言語学習に効果があるか。どの分散のしかたがよいか。 |
| 分散 vs. 集中 | 分散練習は第二言語学習全体に中〜大の効果があった。 |
| 長い間隔 vs. 短い間隔 | 直後テストでは短い間隔も長い間隔と同程度に有効だったが、遅延テストでは短い間隔の方が劣った。 |
| 等間隔 vs. 拡張間隔 | 等間隔と、間隔を徐々に広げるスケジュールは統計的に同等だった。 |
| 検討された調整変数 | 学習対象、セッション数、練習の種類、活動の種類、フィードバックのタイミング、保持期間。 |
まとめると、練習は複数回の授業に分けること。長く覚えておくことが目標なら、回と回の間隔は長めにとる方がよい。間隔を徐々に広げるかどうかは、あまり重要ではない、ということです。
第二言語の語彙で、検索練習のメタ分析はあるのか
このテーマだけを扱ったメタ分析は、私たちが調べた範囲では見つかりませんでした。最も近い根拠は次の三つです。
- Kim と Webb(2022)は第二言語学習に特化したメタ分析です。テーマは間隔ですが、「練習の種類」を調整変数に含めているため、検索を中心とした練習をどう配置するかについても示唆があります。
- テスト効果全般のメタ分析、たとえば Adesope・Trevisan・Sundararajan(2017)や Yang ら(2021)は、練習テストを受ける方が同じ内容を読み直すより効果的だと示しています。さまざまな教科を含み、その一部に第二言語の語彙研究が入っています。
- 第二言語の語彙に関する個別の実験では、単語を記憶から思い出す方が、もう一度見るよりも後の再生成績がよいという結果が繰り返し出ています。
つまり「検索練習は語彙学習に役立つ」ことは十分に支持されていますが、第二言語の語彙に限った効果の大きさは、まだ一つのメタ分析で確定していません。
テスト効果をいくつかの数字で
Roediger と Karpicke が 2006 年に『Psychological Science』に発表した研究はよく引用されます。実験 1 では 1 週間後のテストで、一度読んでから練習テストを 1 回受けた学生は内容の 56% を思い出し、2 回読んだ学生は 42% でした。実験 2 では、テストの繰り返しと読み直しの繰り返しを比べ、61% 対 40% でした。
Dunlosky ら(2013)は 10 の代表的な学習法を評価し、「有用性が高い」とされたのは練習テストと分散学習の二つだけでした。学生がよく使うマーカー引き、読み直し、要約はいずれも低い評価でした。
教室での研究として、Yang ら(2021)は 222 の独立した研究、48,478 人の学生のデータを分析しました。授業内の小テストは全体として中程度の効果(g = 0.499)を示し、その大きさは訂正フィードバックの有無などの要因によって変わりました。これは研究をまたいだ平均であり、どのクラスでも同じ効果が出ることを保証するものではありません。
検索と間隔が効く理由
Bjork と Bjork(2011)はこれを「望ましい困難(desirable difficulties)」と呼んでいます。単語を思い出そうと苦労することは、たとえ思い出せなくても、もう一度見るより後の想起を強くします。単語リストを読み直すと、見覚えがあるので学んだ気になりますが、見て分かることと自分で思い出せることは別です。
間隔をあけると回と回の間に少し忘れるため、思い出すのが難しくなり、そのぶん効果が高くなります。Nation(2001)は、繰り返しの検索や、さまざまな文脈で単語に出会うことを語彙学習の中心に置いていますが、誰にでも当てはまる回数は示していません。必要な練習量は、単語、学習者、課題、フィードバックによって変わります。
スケジュールについては、Nakata(2015)が日本人大学生 128 人を対象に、拡張間隔が等間隔よりわずかに有利(統計的に有意)であることを示しつつ、分散するかどうかの方が分散の型より重要かもしれないと述べています。より広い範囲を統合した Kim と Webb の分析では、二つのスケジュールは全体として同等でした。
小テストを計画するときのポイント
- 復習の説明より小テストを。授業の冒頭に短い想起テストをする方が、単語リストを説明し直すより記憶に残ります。
- 時間をおいてもう一度。今週の単語を来週の小テストでもう一度、学期の後半にもう一度。長期の定着には、続けて復習するより間隔をあける方が効果的です。
- 厳密なスケジュールにこだわらない。等間隔でも拡張間隔でも大差はないので、続けられるリズムを選びましょう。
- フィードバックを返す。解答のたびに正解と短い解説を見せます。
- 思い出し方を混ぜる。意味から単語を書く・言う方が、選択肢から選ぶより難しく、難しい想起ほど効果が大きい傾向があります。
すぐに使える形が必要なら、無料の10 分間の検索練習指導案をご覧ください。5 つの検索課題、訂正フィードバック、遅延復習のチェックポイント、語彙・文法・読解・聴解への応用例が入っています。
Quizzz で実践する
復習のたびに小テストを作り直すのが、いちばん時間のかかるところです。Quizzz では単語リストや本文を貼り付けると、解説付きで編集できる単語テストができ、リンクで共有すれば生徒はアカウントなしで解答できます。翌週は同じテストを再利用するか、同じ教材から新しいバージョンを作れます。結果から、クラスがまだ覚えていない単語が分かります。単語テスト作成をご覧ください。
実際に試してみる
下は Quizzz の実際のデモです。登録なしで、このまま解いてみてください。
参考文献
Adesope, O. O., Trevisan, D. A., & Sundararajan, N. (2017). Rethinking the use of tests: A meta-analysis of practice testing. Review of Educational Research, 87(3), 659–701.
Bjork, E. L., & Bjork, R. A. (2011). Making things hard on yourself, but in a good way: Creating desirable difficulties to enhance learning. In Psychology and the Real World (pp. 56–64). Worth Publishers.
Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving students' learning with effective learning techniques. Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4–58.
Kim, S. K., & Webb, S. (2022). The effects of spaced practice on second language learning: A meta-analysis. Language Learning, 72(1), 269–319.
Nakata, T. (2015). Effects of expanding and equal spacing on second language vocabulary learning. Studies in Second Language Acquisition, 37(4), 677–711.
Nation, I. S. P. (2001). Learning Vocabulary in Another Language. Cambridge University Press.
Roediger, H. L., & Karpicke, J. D. (2006). Test-enhanced learning: Taking memory tests improves long-term retention. Psychological Science, 17(3), 249–255.
Yang, C., Luo, L., Vadillo, M. A., Yu, R., & Shanks, D. R. (2021). Testing (quizzing) boosts classroom learning: A systematic and meta-analytic review. Psychological Bulletin, 147(4), 399–435.